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可愛いヒモ~番外編
第3章 友梨香の発熱騒動

 なんでゾウなのか疑問に思いながらも、じゃあ今度動物園に行こっかと誘ったのは俺の方。
 動物園なんて子供の頃以来だったから、俺もちょっと楽しみにしてたけど。

「ダメに決まってるでしょ? 熱もあるのに」
「…………」
「無言で見つめてきてもダメ。そんな状態じゃ出かけらんないでしょーが」

 ゆーりは両手を毛布から出して、胸の前でファイティングポーズをしてみせた。……ああ、俺がおとなしくしててって言ったから、しゃべらないようにしてるのか。変なとこ素直。

「え、何そのポーズ。ああ、また拘束されたいの? 手錠か何かで? 一日中ベッドに縛りつけられたいとか、やっぱりMなんだね」

 俺はベッドに片手をついて、意地悪くゆーりを見下ろした。
 ゆーりはぶんぶんと首をふる。それから腕を交差させ、バッテンを作ってみせた。
 まったく、なんてまぬけなポーズ。だけど熱があるわりには、元気そうで良かった。

「動物園なんていつでも行けるじゃん」
「……そうだけど。せっかくの一日デートなのに」

 ようやく口を開いたゆーりの、珍しくしおらしい言葉。
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