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可愛いヒモ~番外編
第1章 面接
「本当ですか?」
だったら嬉しい。ここに決まってしまえば、もうバイト探しもしなくてすむし。
「あなた、名前はなんていうの?」
「君島麻人です」
「高校生?」
「いえ、大学二年です」
「なんか幼いねー」
ふいに女性は、くすりと笑った。
「多分、あなたの教育担当は私だから。よろしく」
「あ、はい」
……笑顔。ついその顔から目が離せなくなる。可愛いくて、とかそういうんじゃなくて、その女性の笑顔は素の顔に見えた。さっきの店長みたいな、営業用のものじゃない。
初対面なのに、そんな顔を向けられたことに、少しびっくりしてしまった。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
握手を求められたことに気付き、俺も手を差し出す。
軽く握って、女性は店へ戻ろうとした。
「そういえば名前……、なんていうんですか?」
聞かれたけど、そっちは名乗ってくれてない。彼女の背に声をかけると、彼女は振り向いた。
「船越友梨香(ふなこしゆりか)。覚えてね! 船越友梨香だからね!」
わざわざ二回も。とびきりの笑顔とその言い方に、つい吹き出してしまう。
「はい」
それが、友梨香さんとの最初の出会いだった。もちろんその時はバイトで関わっていくだけの存在だと思っていたし、家を往き来するような間柄になるなんて、思いもしなかったんだけどーー。