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藤の舞
第16章 試験
男は馬に放つ羽目になったことを悔しそうにしながらも、全身を震わせ指揮棒を止めた。

馬は嘶きもせず目を剥いて倒れ込む。

まだ残る指揮棒からの迸りを、アタシは口で受け止めた。

はぁ…はぁ…はぁ…

男は初めての協奏曲に興奮したまま固まっていた。

「はぁぁ…凄く良かったわ…貴方は?」

「ああ…君の良さを再確認したよ。」

「そう、嬉しいっ…
でも3Pって初めて?」

「ああ…もちろん…」

「アタシも、でも凄く興奮して良かったわ…」

あえて『アタシも、』で切って初めてかどうかは曖昧にした。

「ねぇ、彼女の為にも、これからも、たまには彼女呼んでもいい?」

「君の頼みなら仕方ないな。」

「でも、二人で会われたら妬けちゃうから、彼女の連絡先は教えないわ。」

「もちろんだよ。君の頼みじゃなければ会いたくないくらいだ。

何故か妻を連想させるんだよ、彼女…」

「それは、奥さんがMってこと?」

「いや、違うというかわからないが、
Mってさ、何でも従いますっていう、無責任で最高のワガママなんじゃないかな?」

「ふうん…」

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