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人妻短編集
第4章 人妻 麗子(45)
「ほら、熊谷さん」

黒崎が麗子の背中を軽く押す

麗子は、藤川の横に正座し、目を合わせずに両手をついて挨拶した

「社員の熊谷麗子と申します、よろしくお願い致します」

麗子は、丁寧に痴漢に自分の名前を教えた

「先日、お名刺頂いてますから、存じ上げてますよ」

藤川は、笑みを浮かべて言った

そうだった!

先日、記憶のぶっ飛んだ小会議室で、初対面の麗子だけ名刺を渡していたんだった

藤川は、舐めるように麗子を見つめた

スーツ姿で正座をしている、その太ももと白桃がピチピチになって丸みを帯び、隠しきれない大きなメロンが正面を向いている

今すぐにここで押し倒したくなるような人妻の色香…

麗子は、ちょっとしたパニックの中にいる…

「熊谷君は、我が社が誇る、色気満載ナンバーワン美人女性であります、ガハハハ…」

支社長は、ご機嫌とりに必死だ

「熊谷さん、ビール…」

黒崎が言った

「あ、あ、はい」

麗子は、ビールの栓を抜き、丁寧に痴漢にビールをついだ

宴が始まった

苦痛の時間だった

藤川と支社長の間に座り、何をする訳でもなく、ただ話を聞き、たまに飛んでくる「振り」に頷き、飲まされる…

頼みの綱の黒崎は、女中と忙しく連絡を取りながら、腰を軽くして動き回っている

程良く酔いが回って来た頃、藤川が言った

「さぁ、私はそろそろ帰るよ」

「いやいやいや、部長っ、何をおっしゃいますか、次の席をちゃんとお取りしてますから」

支社長が、慌てて藤川を引き止める

「いやいやいや、部長、本当に、お願いします、ほら、熊谷さんからもお願いして」

黒崎が言った

「あ、あ、あの…よろしくお願いします…」

麗子は、藤川の目を見ずに頭を下げた…




4人は、割烹の玄関前に横付けされた黒塗りのハイヤーに乗り込んだ

後部座席の奥に藤川、真ん中に麗子、そして支社長

黒崎は助手席

車が動き出した

麗子は、痴漢にピッタリと寄り添ってしまった

「ちょっ…」

思わず麗子は、声を上げそうになった

藤川の左手が、麗子の太ももの上に置かれ、前後にさすり始めた

麗子は、藤川の手の上に自分の手を重ねたが、それ以上何もできない

支社長は、ずっと窓の外を見て仕事の話をしている

黒崎は正面を見据えたままだ
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