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夢…を…見させてくれますか…
第10章 遠くの愛より近くの優しさ?
「楓は?」

父親の進藤亘が帰宅する

「大学です…」

執事が答える

「帰ってきたら、部屋にくるように」

「はい」






「楓さま…旦那様がお呼びです」



「入りなさい」


「なに?」


「楓、お前、アメリカに留学しなさい。本気で父さんの仕事を継いでくれないか…父さんも若くない…経営学を学び…将来のために役に立つことだけを学んで来い。手続きはもうしてある」


「いつもそうだ…人の気持ちも都合も聞かないで…勝手に何でも決める…」

「それで…間違ったことは一度もないだろう?」

「父さんは、何も知らない…父さんは…僕をあなたの持ち物として扱ってるだけだ…アメリカになんか行かない…」

「楓…来月からアメリカだ、わかったか?」

「行きません!!失礼します」

「楓!!」



「楓さま!!」

執事が止めるが振り払い家を出た


「旦那さま…申し訳ありません」


「何なんだあの態度は、今まであんな反抗しなかっただろ…何かあったのか…」

「いえ…わかりません」

「いったいお前たちは、そばにいて何をやってるんだ!!あの子の周りを調べろ!!」


「かしこまりました」


進藤は病院の由真の病室前に立っていた


「楓…さん?」

廊下を歩く由真


「由真ちゃん…」


「帰ったと思いました」

…ギュッ


「楓っ…さんっ!!」

「由真ちゃん!!」

進藤が由真を抱きしめた

「楓さん…どうしたんですか?」

「少しだけ………」


「…………」


あったかい……進藤さん

由真の手が無意識に進藤の背中に回っていた

「由真ちゃん……由真………」

背中をトントン叩いてあげた

「楓さん…中に……」

由真から離れて病室に入る


「由真ちゃん…ごめん」

「何かあったんですか?」

「大丈夫…何か…由真ちゃんの顔見たくて、また来ちゃった」

由真は…嬉しかった


「楓さん…幸せって何か知ってますか?」

「ん~、好きな人と一緒にいること…かな」

「それもかもしれませんけど……自分が自分であることです…自分に正直になること…自分に嘘をつかないこと…私はそう思ってます」

今市についた嘘を後悔して…出た言葉だった
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