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夢…を…見させてくれますか…
第10章 遠くの愛より近くの優しさ?

「由真~ちゃん」

「楓さん」

「また来ちゃった」

病室に入る進藤

「由真ちゃん、体調どう?」

「いつもと変わらないです」

「今日はこれ持ってきた」

進藤は…バイオリンをケースから出した

「バイオリン…」

「うん、由真ちゃん聴きたいって言ったから」

「弾いてくれるの?」

「もちろん」

椅子に座り、静かにバイオリンを演奏する進藤

窓から入る風が進藤の栗色の髪を揺らす

聞き入ってしまう由真

バイオリンからは、優しい音だけが流れた

気持ちが和らぐ由真


演奏が終わると、現実に戻らされる気がした


「楓さん…素敵」

「ハハハ、僕が?バイオリンが?」

「どっちも素敵です」

「由真ちゃん」

進藤が静かに由真の肩を抱く

「元気になるなら毎日弾いてあげるよ」

進藤が由真のおでこに優しくキスをした

「由真ちゃん…僕、君が好きだよ…」

「楓さん…私…」

「いいよ…わかってる。片思いだってこと…でも、僕の気持ちは変わらないから。由真ちゃん…大好きだよ…」

「楓さん…」

「また来るね」

「お休みなさい」

「うん、お休み」

気持ちが…揺らいだ
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