この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夢…を…見させてくれますか…
第10章 遠くの愛より近くの優しさ?
「由真~ちゃん」
「楓さん」
「また来ちゃった」
病室に入る進藤
「由真ちゃん、体調どう?」
「いつもと変わらないです」
「今日はこれ持ってきた」
進藤は…バイオリンをケースから出した
「バイオリン…」
「うん、由真ちゃん聴きたいって言ったから」
「弾いてくれるの?」
「もちろん」
椅子に座り、静かにバイオリンを演奏する進藤
窓から入る風が進藤の栗色の髪を揺らす
聞き入ってしまう由真
バイオリンからは、優しい音だけが流れた
気持ちが和らぐ由真
演奏が終わると、現実に戻らされる気がした
「楓さん…素敵」
「ハハハ、僕が?バイオリンが?」
「どっちも素敵です」
「由真ちゃん」
進藤が静かに由真の肩を抱く
「元気になるなら毎日弾いてあげるよ」
進藤が由真のおでこに優しくキスをした
「由真ちゃん…僕、君が好きだよ…」
「楓さん…私…」
「いいよ…わかってる。片思いだってこと…でも、僕の気持ちは変わらないから。由真ちゃん…大好きだよ…」
「楓さん…」
「また来るね」
「お休みなさい」
「うん、お休み」
気持ちが…揺らいだ