この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夢…を…見させてくれますか…
第13章 幸せな時間
病室の前に今市が立つ
「真くん…由真…悪いのか…」
「………」
「真くん!!」
その時、由真の父親が病室から出てきた
「今市くん!なぜ!?」
「真くんが、マンションに来てくれて、」
「そうですか…少し時間いいですか?」
「はい。」
父親は…待合室に今市を連れていく
「この病院が、何の専門病院かわかりますか?」
「いえ……」
「このフロアは…まだ普通の病室が並んでますが…検査の段階だからです。この上の階からは、全て無菌室の病室になってます。由真は…そこに移ります…」
「無菌室…ですか…?」
「はい…」
「あの…どういうことなんでしょうか…」
「再生不良性貧血…です…聞いたことあるでしょ」
「…………はい…」
「由真の場合は…6型で…………」
言葉が詰まる父親
「お父さん……由真は………」
「移植しか……手がないんです…」
「え!?……」
「骨髄移植しか……でも……家族親戚は…ほぼ合わない確率が多いんです……ドナー登録者の中から…しか…でも…いつできるか…」
「そんな……」
今市の手が震え出す
「今市くん…由真の父親として、お願いします。娘とは…別れて欲しい……こんな状況なんだ…このまま…黙って帰って、娘のことは忘れて欲しい…お願いします。」
深く頭を下げる
「………無理です」
「今市くん…娘のためなんだ。わかってくれないか…」
「お父さん……無理ですから…由真を手放さないって…由真を離さないって…約束したんです。」
「君は……娘を悲しませたいのか…」
「え?」
「娘も…今の姿を君に見られたくないはずだ…これからの治療で……かなりダメージがある…そんな姿…」
今市は頭を抱えた…
「帰ります…」
今市は立ち上がる
「わざわざ来てくれてありがとう。わかってくれたんだね。娘は…必ず私たち家族が助けてみせますから、君も頑張って!」
何も返事をせずに病院をあとにする今市
「父さん!あいつは!?」
「帰ったよ」
「は!?帰った!?なんで!?」
「そういうことだ…有名人だ…重荷になることは避けたいだろ…」
「ふざけんなよっ!」
後を追う真を父親が押さえつける
「父さん!離せよ!」
「真!」
膝をつき泣き出す真…