この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夢…を…見させてくれますか…
第14章 闘い
親族…メンバーに適合者は居なかった
「骨髄バンク…ですね」
医師と父親が…相談していた
「先生……」
「頑張りましょう、必ず適合者がいます」
今市にも連絡が入った
「そうですか……」
電話を切り肩を落とす
「隆ちゃん…」
「誰か一人すらいないのかよ……」
「隆ちゃん……」
「嫌だ…俺…みんなに呼びかけるよ…バンク登録…」
「そうだな…一人でも多くの人が入ってくれたら…きっと…」
1ヶ月、2ヶ月と過ぎた頃
「ドナーが見つかりました!」
「ほんとですか!!」
父親は泣いた
「姉ちゃん!!ドナーが見つかったよ!!」
「…そう、」
「姉ちゃん?」
「……」
「どうした?」
「ここから…スタートなの……」
「姉ちゃん…」
「抗がん剤治療始まるんだよ……」
「姉ちゃん…」
「真……終わるまで病室に誰も入れないでね……」
「わかった、俺がついててやる」
「真…」
「俺ならいいだろ!!」
「ありがとう」
今市は、仕事を済ませ由真に会いにきた
「真くん!!ドナー見つかったって…」
「はい。」
「由真は?」
「病室です」
「会える?」
「どうぞ…」
病室に入る今市
「由真!!良かったな」
「…隆…うん。」
「これからが…辛いだろうけど、一緒に頑張ろ」
「隆…?」
「病気のこと調べてみた。ドナーが見つかったら治療がつらくなること…体力的に苦しくなること…」
「隆…」
「俺が、いる。そばにいるから一緒に闘おうな。」
「隆…っ」
「由真っ…」
由真を抱きしめる今市
病室の外で弟が微笑む
「今日はプレゼントあるんだ。」
「プレゼント?」
「うん」
今市は紙袋を差し出す
由真は紙袋の中身を見てしばらく言葉がでなかった
「これ…」
「うん……抗がん剤って…かなりきついの知ってるし、由真女の子だからさ…」
何種類ものニットの帽子が入っていた
「隆…ごめんね…私こんな病気になっちゃって……もっと健康的な子だったら良かっ…んっ」
今市の唇が重なる
長い長いキスだった
涙が止まらない由真…
涙にもキスを落とす
「由真だから好きになった。由真…愛してる」
「隆…愛してる」