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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

懐かしい……。
楓との思い出が次々と甦り、消えていく。
あんなに守りたかった楓の笑顔を俺は、奪ってしまった。
泣かせたくなんて無かった。
俺の為に、涙を流して欲しくないのに。
大丈夫。それしか言えなくてごめん。
このまま、退学になったらもう楓の隣に居られない。
あの屋上から見える景色も、教室の騒がしい感じも
二人で帰った夕日が照らす通学路も。
何もかも消えていく。
覚悟したはずなのになぁ。
弱い俺は、涙が出てきて止められない。
こんなに、辛いんだな。
楓が俺にくれたものは、かけがえのない時間。
優しい気持ち。
人を愛する心。
大切にしたい、守りたいと思わせてくれたのは他の誰でもない楓。
焦って、行き急いだ結果がこれかよ。
あんな、目先の金に飛び付くんじゃなかった。
もっと大事なモノがあったのに。
近すぎると見えないって本当なんやな。
どんなに後悔しても、もう遅い。
ごめんな、楓。
本当にごめん。

