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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

病院に到着し、看護師から手術室に案内された。

ソファーに座り抜け殻みたいなあたしに対して男性は行ったり来たりを繰り返して落ち着かない。

「座りましょう、あたしも落ち着きましたから」

人は自分より焦っている人を見ると冷静になれることを初めて知った。

「すまない。楓ちゃんの方が大人だな…」

「達巳から聞いたんですか?あたしの名前」

「ああ、よく話してくれたよ。自慢の彼女だって。俺は達巳の先輩。高峰です」

自慢の彼女…達巳が他の人にそんな風に言ってくれていたのが嬉しかった。

と同時に、もう彼女じゃないっていう事実に悲しさが溢れた。

「達巳が何を話そうとしていたか、聞いてますか?」

「ああ…まぁな。でもそれは体が治ったらゆっくり本人の口から聞いて?」

それから高峰さんとあたしは無言で手術が終わるのを待った。

何時間経ったのか、ランプが消えて先生が出てきた。

高峰さんは先生に詰め寄り達巳の状態を聞く。

その後ろでただ立ち尽くして身動きできない自分が居た。

「残念ですが……」



時が止まった気がした。

そんなことがあるわけない。

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