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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

車内は重苦しい雰囲気に包まれ、最初に口を開いたのは高峰さんだった。
「達巳を守れなくてごめん」
運転する横顔を見ると、静かに涙を流す高峰さん。
「高峰さんのせいじゃないですよ」
「あそこで仕事任せたのは俺や。普段はあの場所に達巳がおるはずないんや」
「それでも…です。あれは事故です。誰も悪くないんです」
まるで自分に言い聞かせるように、あたしは言葉を選んだ。
運が悪かった、ただそれだけ。
誰も責められない。だから苦しい。
「お通夜、明日やな。ちゃんとお別れせんとな」
「そうですね、泣いてちゃダメですよ?達巳は周りを笑顔にさせる天才だから。泣いてたら悲しむから」
「楓ちゃん…泣いてもいいんよ?今だけは。この場所でだけでも」
高峰さんがあたしを気遣うその優しさに触れた時---。
涙がポタポタと零れだした。
一度溢れた液体は止まることを知らずに、ただ流れていく。
達巳…置いていかないでよ…
残されたあたしはどうしたらいいのよ…
約束くらい守ってよ。
もう我儘言わないから…お願いだから…
もう一度笑って?

