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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光


帰宅してしばらく経ってから母親が帰って来た。

リビングに居たあたしを見つけると無言でお茶を淹れてくれた。

あたしの隣に座り、しばらく黙った後。口を開いた。

「お母さんびっくりしちゃった。楓があんな大胆なことするなんて」

「ごめん、謝らせて」

「ううん、親だもの。あたしは楓に何もしてあげれてないんだから。これくらいはね」

お茶の入った湯のみを両手に持ち、その温かさのせいなのか、母親の言葉になのか。

ジンっと心が熱くなる。

「達巳くんの事、認めてあげなくてごめんね。お母さん、何だか達巳くんに楓取られちゃった気がして寂しかったの。」

「お母さん…」

「でも、あんな風に人を愛せる楓が羨ましいとも思った。お母さん、お父さんが死んでもきっとあんな風にお別れ出来ないよ」

寂しそうに、母親もまた湯のみを両手に握った。

「お父さんと、もうロクに会話もしていない。顔を見るのも少しだけ。お母さんは本当にこの人と結婚しているのか疑問に思ってきちゃった。」

辛そうに顔を歪め、それでも話し続ける母親。

「楓のように純粋に愛していたのはもう一体何年前だろう。お母さん、別れようと思うんだ、お父さんと」

こんな時に話すもんじゃないわよね、なんて言ってお茶を啜った。

お母さんである前に、一人の女性である母親にあたしはこう告げた。


「別れても、いいよ。お母さんが幸せになるなら…」


あたしの言葉に母親は、涙を流し続けた。

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