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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光

ざわめく会場。あたしの行動にあの人が吠えた。
「何してるの!達巳から離れて!!」
達巳の母親が喪服姿であたしを睨む。
ごめんなさい、おばさん。
最後まであたしはあなたに嫌われたままでしたね。
でも、達巳を愛しているのはあたし。
あなたなんて言わせない。
暴れるおばさんを親族の人が取り押さえる。
あたしは一礼してその場を出ようとする。
「もう来ないで!明日のお葬式にも来ないでちょうだい!」
あたしの母親が謝っていたけれどあたしは無視をした。
もう、会えない。
さよならは言わない。
あたしは、達巳とお別れなんかしない。
最初から葬式に出るつもりなどないのだ。
居間を出て外に出ると、翼くんが困った顔をしていた。
「何やってんだよ…」
「別に…ちゃんと宣言しただけ。あたしは達巳を愛してるって」
「おばさんヒステリックになってんじゃん」
「しょうがないよ、母親だもん」
「斉藤、無理すんなよ…」
無理なんかしていない。あたしは昨日、車内で泣いた。
散々泣いて、ちゃんと達巳に伝えなきゃと思ったから。
いくら達巳が別れようと言ってもあたしは達巳を愛している。
愛を教えてくれたのは達巳だから。
そして失う辛さも。
「ちゃんと学校来いよ!俺待ってるから!」
翼くんの声を背に受けてあたしは歩き出した。
もう振り返らない。
前も向けないくらい真っ暗闇。
でも、歩き出さなきゃ。
達巳がきっと心配するから。
自惚れかな?あたしフラれたのに。
でもそんな気がした。

