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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

「お前ら席につけー」
騒がしい教室に入ってきたジャージ姿の先生がプリントを手に持ち、教卓の前に立つ。
「今からテストやるぞー。範囲は夏休み前までだ。しっかり解けよー」
プリントが配られて、紙の擦れる音とシャープペンシルが走る音が木霊する。
眠気に襲われながら何とか解いた時、左斜め前に座る達巳を見れば机に突っ伏して寝ていた。
早いでしょ…。
呆れながら笑いを堪える。
きっと、達巳の回答用紙は空白だらけなんだろうなって思ったら、先生に同情した。
一時間の制限時間が過ぎ、プリントは回収されていく。
「このテストで赤点の奴は夏休み明けから、放課後特別授業だからなー」
先生の一言に皆が凍りつく。
ガタッと椅子が引く音がして、視線をやれば達巳が立ち上がっていた。
「待って、待って!先生、俺本気出してなかった!やり直させて!」
その言葉に教室中に笑い声が響いた。
「もうおせーよ!達巳、早くに寝とったもんなぁ?あー夏休み明け楽しみやなぁ」
ガックリ肩を落とす達巳に、バイトがあるから出られないんじゃないかと心配になる。
でも、こればかりはどうしようも出来ない。
自分の力で乗り越えるしかないのだから。

