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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

「マジで最悪や…」
補習が終わり、帰り道。
項垂れる達巳にどう声をかけようか悩んだ。
「バイト減らすとか無理や」
「だよね…先生に、交渉する?」
「あのゴリラマッチョ、話聞かないやろな」
ゴリラマッチョなんてアダ名がついていたのか、あの先生。
確かに夏場に見るには暑苦しい筋肉の持ち主だけど。
「あ、楓!アイスクリーム奢る!この近くに売り子のおっちゃんおったんや!」
そう言うと、いつもの帰り道からルートを外れて脇道に入る。
普段は通らない道だと、知らない世界に迷いこんだような気分になる。
狭い路地を抜けると、だだっ広い所に出た。
そこには、ポツンとアイスクリームと書かれた旗を掲げた移動式の店舗があった。
「バイト行く前によく見掛けたんや!一回食べたけどめっちゃうまかったんや!」
夏の日差しのせいで、冷たいものを欲しがる体。
あたしはおじさんにバニラ、と伝えた。
達巳も同じのを頼んだようだ。
「違う味にしたら少し貰おうと思ったのに」
そう言えば、慌ててチョコに変更で!と言う達巳が可愛かった。
「お二人さんはカップルなんかぁ?」
「そうやけど?」
「おぉ~いいの~羨ましい!」
おじさんは、目を細めながら笑った。

