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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

深夜三時。母親が帰ってきたのか玄関が開いた音がした。
二階から一階に降りると、母親は満面の笑みで俺を見つめる。
「達巳~ただいまぁ~」
酒臭い、その女に俺は詰め寄った。
「金、返せよ」
「やだあ、そんな顔しないでよ~」
「どこやった?使ったん?」
「ちょっと、借りたんよ?ちゃんと返すから」
そう言って、居間に入っていくのを後ろから追った。
キッチンに入り、水を飲み干す。
生き返ったとでも言いたげに気持ち良さそうにコップをシンクに置く女。
「30万、返せるん?無職なんに」
「お店にまた働きに行くからぁ。それまであたしに貸してよ~」
「いい加減にしろや!あんたの言葉は信じんのや!今すぐ返せよ、じゃなきゃ出ていってくれ」
尖った言葉を投げ掛けても、女は笑いっぱなし。
言うようになったね~なんて返されて、全然響きやしない。
「昔は達巳優しかったのに。変な女に捕まって変わってしまったん?」
楓のことを言っているんだろう。
少なからずお前よりはまともだ。
楓は、今の俺にとってはかけがえのない存在。
楓が居なければ、今の俺はいない。
「母さん、あの子嫌いやわ。早く別れたほうがいい」
その言葉に、俺の何かがキレた。

