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ラストチルドレン
第3章 壊れていく日常・守りたいもの

◇
「なんだよ…これっ…」
家に入ると、玄関から居間まで空き巣が入ったかのように荒らされていて、慌てて自分の部屋に行くと今朝まであったはずのソレが無かった。
自分の口座が無い俺は、今まで貯めてきたお金を自分の部屋の金庫に隠してあった。
リサイクルショップで手にいれた金庫は、硬い何かで叩かれたのか、ボコボコになっていて。
扉は開いて、中身は無かった。
膝を床につけ、座り込む。
30万程あった、金。
犯人は……恐らく母親。
泣きたくなった。
まさか、金を取られるなんて予想しなかった。
新しく男が出来たら出ていくだろう、と思っていたがまさか金を持ち出されるとは。
幸い、生活費は自分の財布に常に入れているから給料日までは持ちそうだが。
自由への資金が一瞬で消え去ったことに対する虚無感。
「あは、はははははは」
乾いた笑いしか出なかった。
荒れた部屋を見渡し、怒りに任せて蹴り飛ばした。
壁を殴ると、拳から血が出て壁が赤く染まる。
「やっぱりアイツは邪魔だ」
少しでも同情して、家に帰るように言った己の弱さを恨んだ。
もう、何もかも捨てたい。
この家も、母親も。

