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父と娘の近親相姦日記 第2部 暴走編
第10章 インストーラ
 彼らもそのような二面性を持っていたのだろうか。
 実際、大橋君とは何度も会ったが、真面目で手堅くそれでいて明るい、良い少年だったという印象しかない。弟のほうとは会ったことがないが、純粋に元気で素直な子だったと聞いている。

 「それにしても…」

 私は皿を洗いながら考える。

 華に止められたからとはいえ、結局のところ直接の怒りをぶつけることもできないうちに、彼らには逃げられてしまった。

 もちろん大橋家の人々にはこれから十分な社会的制裁、法的制裁が加えられるのだろうが、しかしそれは私の行動が導いたものではない。
 しかもこれから暫くの間は、この件がどう進行しているのかを知るすべも無いままに、ただ警察がやってこないことを祈り続けるしかない状態なのである。

 結局、私は華になにもしてやれなかったということだ。

 時間の流れは止まらない。少し躊躇していれば状況は日ごとに変わっていく。そんなことは誰だってわかっているはずのことだが、それが時にはこんな結末を招く。

 本当にこれで良かったのかと、ベッドに潜ってからも、その思いで眠れずにいた。
 悶々とベッドで寝返りを打ち続けているうちに、部屋のドアがスゥと開き、いつものように娘が忍んできた。
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