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§ 龍王の巫女姫 §
第14章 湯に溶ける甘い蜜



「──…何を笑っている…」


え…っ


心の中で笑った筈なのに、顔に出てしまっていた。


炎嗣に睨まれて咄嗟に口許を覆った水鈴──

すぐにその行動が裏目にでたことに気が付く。


「その反応……やましいことを考えていたのか?」

「…別に…!」


慌てて否定するも、信じない炎嗣は水音をたてて彼女に近付いてきた。

隅にいたのが災いして逃げられない。


「捕まえたぞ…」

「──…っ」

「──それで?言い逃れは思い付いたのか」

腕を掴んで彼が問う。


「…ええ…っと…」

本当のことは言えない。

何か…何か…


「思い出し笑い…」

「…ほぉ…、何を思い出した」

「昔、ずっと昔のことです。炎嗣様が知らない頃の出来事です…!」


苦しい言い逃れだった。

けれどこれ以上詳しいことを聞かれないためにも、こう言うしかなかった。



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