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§ 龍王の巫女姫 §
第14章 湯に溶ける甘い蜜

ふわりと身体が浮かび、彼女はあぐらをかいた炎嗣の上に乗せられてしまった。

「ち、近いです…」

「…ああ、そうだな」

咄嗟に手をつけた彼の胸は、熱い湯に浸かっているせいか少しだけ鼓動が早い──。

“ わたしったら…っ ”

無意識にそんなことを考えた自分のあざとさが恥ずかしく、慌てて手を引っ込めて俯いた。


しかし…すぐに顎を掬われて上を向かされる。


「──炎嗣様…!」


目の前の美貌を直視できない。

水滴を纏った艶のある黒髪と、滴るような色気。


「何故、目をそらす…」

「だってこの距離だもの…っ」

「俺は平気だが?」


炎嗣は水鈴の顔を凝視する──

それだから、彼女はよけいに目をそらすしかないというのに。



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