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馬鹿と天才と紙一重
第1章 馬鹿からの脱出

「学期末テストの素点表を配るぞ〜」
金曜日の6時限目、LHRであるこの時間がとても苦痛で仕方が無い。
周りの子達がざわつくのも無理ない、私も今すぐ教室を抜け出したいくらいだよ…
「相良さん相良さん?フリーズしてるけど大丈夫?」
通路を挟んで右隣の江尾くんが心配してくれてるけど、いつもみたいに笑って返事をすることすら出来なくて、ただ頷いて深呼吸をした。
「相良藍」
「はいっ」
教卓まで少し足を速めて素点表を受け取ったけど
「相良、この点数は危ないぞ?」
何て言葉もついていた、慌てて学年順位を確認したらサーッと血の気が引く気がした。
「どうだったー?相良さん」
江尾くんの声も右から左に流れていく。
「ちょっとー藍どうしたの?」
前の席に座ってる舞子がこっちを振り向きながら苦笑している。
あまりにも自分の順位か酷くて言葉が出てこない…
「ねえ、藍…?前も言ったけど浪岡くんに教えてもらったら?」
"浪岡"と言う言葉に過敏に反応した私をみて舞子はふふんと得意顔を向けた。
幼馴染の浪岡 修哉…昔は一緒に遊んでたけど物心つく頃には距離があったし、今となっては立派な学校の王子様だし。
「ファンクラブの方々に殺されちゃうよ」
やっとの思いで声が出た気がした、すると江尾くんが距離を詰めて私の近くにきた。
「じゃあ俺が教えようか?相良さんになら何でも教えてあげるし、守ってあげるよ」
ニコニコと笑顔のまま机の下で太ももをスカート越しに撫でられてその手を止めようとしたら膝小僧を触りスカートの中に…
キーンコーンカーン
チャイムが鳴り、慌てて江尾くんは自分の席に戻った。
「藍?今触られてなかった?」
「う、うん…ボディタッチ多いって言うか…」
コソコソと舞子の話していたら教室中に悲鳴が響いた。
「王子ーーーー!!!」
「1Aの浪岡です、相良さんに話があります」
私のことを見つけた途端にその美しい顔にこれ以上ないくらいの極上の笑顔を貼り付けた。
「わーお、いってらっしゃい」
舞子がやれやれという風に手をひらりとあげた。
「浪岡くんっ」
慌てて浪岡くんの元に走ればさらに悲鳴はあがる。
もう嫌っ!

