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贄姫
第2章 弍
「逝けよ。椿。くたばれ」
恥ずかしさと、言葉にならない痺れが
身体中を覆って突如それが一気に爆ぜた。
「っ……」
自分の意思とは関係なく
腰が痙攣を始める。
どこまでも甘い疼きが、全身を襲った。
ドクンドクンと蕾を中心に
耳の奥の血管までもが脈打つ。
恐ろしい倦怠感とともに
身体中の力が抜けた。
運動後のように胸元が上下し
新鮮な空気を求めて口が開いた。
その口を瓊乱の唇が覆った。
密着する身体は熱く
瓊乱の硬くなった男の其れが椿の腹に当たった。
「っ…ん…」
あまりにも優しい口づけに
さらに力が抜ける。
ねぎらうような深い口づけを済ませると
瓊乱がぺろりと舌なめずりした。
「どうだ、逝った感じは?」
それには、答えが見当たらなかった。
初めての刺激に耐えられなかった身体は重く
煩わしいほどに疼いていた。
しかし彼の、今しがた自分を犯した鬼の美しすぎる顔を見ると
頭はすっと冷静になり意図していないのに
目の端から涙が流れ落ちた。

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