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忘れられない指
第5章 思いもよらぬ・・
それはそうだ。
もちろん、慎介さんに男を感じていた。
もしその腕に抱かれたら・・そんな想像だって、時々、した。
じゃあどんなところが?
ありふれているが、大人の落ち着きとおだやかさ。そして・・
手先の優雅さ・・

「マスターの手って・・とっても優雅に動くなぁって、見てて思ったの。
 色気があるっていうか・・それ見てたら・・」

「へぇ!咲ちゃんって、フェチ子なんだ!父親フェチに手先フェチ?
 意外とエッチなんだ!」

赤ら顔の凌空が私の肩を叩いて笑い出す。
なんでフェチがエッチなのか?と言い返しても、酔いが回っている凌空は
まともな反撃ができずにただただ笑っている。

なんだよぉ酔っぱらい!と叫んだ後で私まで急に酔いが回ってきた。
たぶん今、頭を振ったからかもしれない。
アルコールが急速に支配を始めたみたいだ。

みんな床に伏せて笑いころげ、さっきまでのシリアスなムードは
跡形もなく吹っ飛んだ。
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