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忘れられない指
第5章 思いもよらぬ・・
そこいらじゅうに転がっている空き缶をコンビニ袋にまとめていると、

「え~もう帰っちゃうのかよぉ」

凌空が鈍い動きで私のトレーナーの裾を引っ張った。
時計の針は日付が変わった事を告げている。
史彦なんて今にも眠りそうなほどぐったりと壁に寄りかかっている。

私だって、ゴミを片付けるなんてしっかりした事しているようだが、
じつはかなり酔いがまわっていて、足もフラフラしている状態。
孝明が促がしてくれなかったらこのままここで寝ちゃいそうなくらい
眠気にも襲われている。

「今夜はほんとに楽しかったよ、みんなありがとう」

凌空の肩をたたき、史彦の肩をたたき、そして孝明には頭を下げた。

「どういたしまして。咲子ちゃんが楽しんでくれてよかった。
 咲子ちゃんの手料理も食べられたし。またやろうね」

うん、と返事をしながら床に転がる2人を見ると、どうやら寝てしまったらしい。
うんともすんとも返答がない。
呆れた顔の孝明が、

「じゃあ帰ろう、こいつらこのままにして」

テーブルの上に置いてある、凌空の部屋のキーを手にすると、
私の荷物を持って玄関へとむかう。
私も孝明の後を追う。

「鍵、持ってっちゃうの?」

「外から鍵かけたら郵便受けの穴から家の中へ戻すのさ。よくやるんだよ」

ドアノブを2、3回ひねってから鍵を穴から投げ入れた。
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