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MY GIRL
第16章 東京
「蒼汰?手…」

「お前、捕まえとかねぇとどこか連れてかれるから」

「誰に?」

「ナンパに」

「大丈夫だよ!そんな事されないよ」

どの口がそれを言うか!

「いいから!黙って手ぇ繋がれてろ」

「はーい」

にっこり可愛く微笑んだ美咲。

…あークソ可愛い。

今すぐにでもラブホに拉致したい突っ込みたい。

何でこんなに可愛いの?

大樹さんと付き合ってから更に可愛くなりやがって…

何となく独占欲がわき、美咲の指をしっかり恋人繋ぎで繋いで握った。

一瞬俺を見上げて首を傾げ、すぐに前を向き歩き続ける美咲。

…クソ、照れる。

平然を装い無駄に周りを見渡した。

…ん?

あの店よさそう。

おしゃれな雑貨屋を見つけて、美咲の手を引き中に入った。

「えっ?もしかしてあたしと同じ事考えてた?あたしもここ見てみたくて声掛けようと思ってたの!」

「お、マジ?俺達仲良しだなー。見てこうぜ」

「見てこうぜーっ」

にこにこ笑う美咲。

隣で揺れる綺麗な黒髪。

丁度いい身長差。

少し視線を落とす。

美咲の左手小指にはまる綺麗な指輪。

ピンキーリング…大樹さんからだよな。

傍から見たら俺らは、ラブラブなカップルに見えんのかな?

ほんとにそうならいいのに…

なぁ、美咲。

俺だったら、歳も同じだし遠距離になんてならない…絶対にさせない。

お前だけを愛して、辛い思いなんてさせねぇよ。

傍を離れないで、幸せにする。

ずっとずっと愛し続ける。

…でも。

俺じゃ、だめなんだよな?

俺は自分の気持ちを押し殺して、あくまで仲のいい男友達として、美咲に接するしか…

俺には…美咲を傷付けた俺には、美咲に思いを伝える資格も、愛す資格も愛して貰う資格もないもんな…?

「蒼汰、見てっ!これ大樹に似合いそうっ」

これでもかって幸せそうな笑顔で俺を振り向く美咲。

その左手には、シンプルなモチーフのネックレス。

ほんとだ…似合いそうだ。

「…ん、そうだな」

俺は美咲の傍にいられるだけで満足すべきなんだ。

それ以上の事を求めるなんて…バチが、当たるよな。


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