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秘蜜に濡れて
第9章 BLIND
すっかり陽が傾いた頃目を覚ましたあいりは鈍い痛みを抱えたまま帰宅した。

シャワーを浴びてタオルを取ると、腰から背中にかけて紅い印が点々とついていた。

ほんの数時間前まで、この上なく満たされていたのに、もう欲しくなってしまう。

あの声に翻弄される。

用意をしたらあの家に戻ろうかとすら考えてしまう。

頭を切り替えて明日の打ち合わせの資料を広げた。

大阪で行われる展示会に顔を出し、その後打ち合わせ。

まだイメージキャラクターの人選を迷っている先方とここで方向性を決めたいとの事。

「…ユリカと…美山 律、か…」

企業は先月一部上場を果たしたばかり。

これからの未来を考えると、初期のイメージはかなり重要だった。

資料を熟読しながら、いつの間にか眠ってしまった。
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