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カノジョ
第8章 あんなカノジョ《再々》
 
 パタッと足が止まる。

「えっ!? い、イヤだなぁ…忘れてなんか…は、ははっ………」

 冷や汗が止まらなくなってきた杏子。

「う、うん……ホントに…大丈……夫」

 そうは言っても、内心では焦りまくっていた。


…ちょ…早くシャワー浴びないと…
…それに色々と……
…何時までも話してる場合じゃ……


「ちょ、ちょっと、まだやる事が……ね」

 一刻の猶予も無かった。

 暗に会話を終わらせようと仄めかす。

「じゅ、準備は出来てるけど、ほら…ね?」

 最早、会話にもならなくなりかけていた。

「は…はい……すいません………まだ…です………」

 挙げ句の果てに、とうとう見破られた杏子。

 携帯片手に全裸でペコペコ頭を下げる姿は誰にも見せられない。

「急いで行くから…じゃあ後で………」

 通話を終えた途端、杏子の行動は素早かった。

「まさか、今日は会議で早出だったとはぁぁぁっ!
 …恭子さんありがとぉぉぉっ」

 感謝しながら慌てふためく杏子だった。


【完】
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