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愛無き、故に恋
第3章 花桃
今日は仕事早く上がったな。

そう思いながら街を歩く。

電車で少し郊外に出てタクシーを拾った。

4階建てのシックな蔓薔を纏ったフェンスに囲まれた建物。

その最上階に薔薇姫の部屋がある。

格子に絡む赤い姫薔薇。

あれは彼女に俺が送ったもの。

ベッドに絡む薔薇も俺。

彼女の白い肌とワンピースには、深紅の薔薇が似合う。

彼女の部屋には、薔薇の香がいつも微かに漂っている。

あの香は俺からの彼女への愛。

あの深紅も俺からの愛。

それに拒否を示さないのはきっと彼女の愛。
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