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ジェミニの檻
第9章 distanse
駅前のファーストフード店に入り、窓際のテーブルを確保する。

バニラシェイクは汗をかいたまま放置されていた。

重い沈黙を打破するきっかけを二人共が探していた。

「…天体観測…行くの?」

「…ぅ、ん…」

「…いいよ」

「え?」

「いいよ、天体観測行っても、俺も…合宿だし、ダメなんて…言える立場じゃないよな」

ふぅっと一息付いてシェイクを口に運んだ。

「渉に怒られた、部活も大事だけど、六花のこと…ほっときすぎだって…他の奴に盗られても何も言えないって…あと…梢のことなんだけど」

視線を上げる六花。

「俺には六花だけだって言ったから」

心臓がきゅっと掴まれる。

「諦めないって返された、けど…俺は六花しか考えられないから」

ゆらゆらと雫に揺れる視界。

「部活ばっかで…バイト先の奴にまで嫉妬して…ダサいよな…でも、やっぱ六花が好きなんだ、バレーとなんて比べられない、そんな俺でも…いい?まだ別れてない、よな?」

こくんと頷く六花に、由岐は安心した様に破顔した。
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