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ジェミニの檻
第11章 Subtle shift
微笑ましく二人のやりとりを見ていた六花に矛先が向けられる。

「あ、うん」

課題を見せると志貴はシャーペンで途中式を指摘しただけで、なんとかクリアしたらしい。

「ご飯の用意、手伝うね」

由岐を一人残し、ダイニングテーブルにカトラリーやコップを並べていく。

味の滲みた肉じゃがが美味しそうなことに六花は感心するやら、感嘆するやら。

由岐の様子を伺いながら温め直す。

「渉に聞いたんだけど、志貴のクラスは文化祭なにやるんだ?」

「何で俺の、なんだよ?六花のだろ?」

「喫茶店だって聞いた」

「そうなの、メイド・執事カフェ」

ぶっと吹き出したのをなんとか手で抑えた由岐。

「あ、でも、男の子がメイドで女の子が執事なの、ギャルソンみたいなのだから」

「それはそれで、なんか…で、志貴は?」

「科学実験を用いた甘味製作」

「甘味って…飴?」

志貴は頷きながら人参を摘んだ。

「へーまた敷居の低い…」

「特進は普通科からすると雲の上の存在だから」

六花が口を挟むと、由岐は妙に納得した。

「息抜きと手軽さ、客引きにはちょうどいいだろ?」

志貴はそれ以上話しを膨らます事はなかった。


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