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ジェミニの檻
第11章 Subtle shift
「由岐くんの学校は?学校解放はしないの?」

「あーうちは保護者向けだけの展示で終わり」

残念と六花は唇を尖らせた。

「六花のとこの文化祭楽しみだな」

由岐はにこっと笑って味噌汁を飲み干した。

夕食を終え、片付けを済ますと六花は帰る支度を始めた。

時計は8時を回っていた。

日差しがない分温度が下がり、生温い風が頬を撫でていく。

「夏休み終わっちゃったね」

横顔を見上げると、頷く由岐。

六花の最寄り駅で降り、家までを遠回りする為にいつもと反対の改札を通る。

「座る?」

公園のベンチに並んで座ると、夏の思い出を語りだした。

「それなのにえれなは全然宗治さんの方すら見なくて、なんか可哀想なんだよ?」

「だな!慣れてそうなのに、本命には…」

由岐が怪訝な顔をして声のトーンを落とす。

風が草を撫ぜる音に紛れて確かに声が聞こえてきた。

「な、に…?」

夏の夜にその呻く様な声に六花は思わず身を竦めて、由岐のシャツを握った。

二人して息を潜める。

「…っあ…ああ、んっ…はっ…だめ…」

喘ぎ声だと判ると、二人は視線を泳がせる。

由岐は六花の手を取るとその場を離れ、遊具が点在する方へと歩き出した。

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