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ジェミニの檻
第12章 優しさの使い方
ハンバーガーで腹ごしらえをして、差し入れにお菓子を買い込んだ。

メールが指定した9時に学校の裏手に集合したのは特進科を中心に10人程だった。

次々とフェンスを乗り越えていく男の子達が女の子の手を引っ張り上げてくれる。

「夜の学校ってちょっと怖いかも」

同じ気持ちで頷く六花。

ぽつぽつと点いている電灯と月明かりだけに浮かび上がるプール。

「おーっ!冷てー!」

パンツ一丁でプールに飛び込む姿は特進だからという壁もなく、唯の無邪気な高2の男の子だった。

女の子たちはプールに足だけ浸けてお喋りに夢中になる。

「ね、あの中なら誰が好き?」

「私は飯田くん」

「橋口くんでしょ」

「大野くんだよー」

「えー松永でしょ、顔だけなら」

えれなと台詞に皆んな絶句する。

「顔だけ?まさかぁ!成績優秀、見目麗しい特進の王子は先生たちもクラスメートも一目置く存在だよ?」

「性格に難ありだよ?」

くすっと六花が笑うと、後ろから伸びてきた手に羽交い締めにされる。

「何、悪口ばら撒いてんの?」

「悪口じゃなくて、本当の志貴を教えてあげてるの!この猫被り」

毒づくえれなを一瞥して、六花の横にあったジュースを口にした。
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