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ジェミニの檻
第12章 優しさの使い方
「ふーん、えれなのいう事と俺のいう事、どっちが信憑性があると思う?」

濡れた髪を掻き上げて、滴る雫の痕跡すらも計算尽くのような仕草にその場の視線を全部攫っていく。

最期に口の端で笑うと暗闇の中で女の子たちの頬が朱に染まった。

「せっかく来たんだから、入れって」

「きゃあっ」

六花の手を引っ張って、プールに落とす。

制服のまま頭までずぶ濡れになって噎せる六花。

「私も入ろっ!」

えれなも制服のまま飛び込み、それに続く女の子たちに、男の子たちも満足そうに何処からか持ってきたビーチボールで遊びだした。

「由岐に言った?これ」

「あ、ううん…」

視線を逸らしたまま志貴は水を掻き分けた。

プールを満喫してプールサイドに寝転ぶ。

次々と移りゆく話題に声高らかに笑い声が響く。

「やべっ!!逃げろっ!」

チラチラと懐中電灯の光を発見したその声に、蜘蛛の子を散らす様に方々へ走り出す。

「六花!」

差し出された志貴の手を握って走り出したのは校舎の方だった。

志貴は迷わず校舎の窓から中に侵入すると、特進科の教室へと向かった。

扉を閉めて、耳をすます。

声も足音も聞こえて来ない代わりに、えれなからメールが届いた。

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