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ジェミニの檻
第13章 noreason
佳織は二人の腕を両手に取ると歩き出した。

「佳織さ…えれな?」

「…行こ」

ふいっと宗治に背を向けて歩き出すえれなを宗治は微笑みすら浮かべて後を付いてきた。

由岐の隣には梢が張り付いていたし、六花は気もそぞろに志貴の教室へと案内した。

「志貴くん!」

滅多に訪れることのない特進科の前には人だかりが出来ていた。

その中でも白衣に眼鏡姿の志貴は沢山の女の子に囲まれていた。

佳織はその子らを物ともせず志貴に歩み寄る。

「佳織さん、どうしたんですか?」

「宗治に連れてきてもらったの、前に言ってた写真持って来てあげたのよ」

鞄からA4の封筒を取り出す佳織。

「ここじゃ何だから向こう行きましょう」

志貴はごく自然に佳織の肩を抱いて人混みを抜けて行く。

「志貴っ…」

「何?」

何故呼び止めたのだろう。

隣には由岐が居るのに。

志貴の腕に包まれた佳織の後ろ姿が自然過ぎて、呼び止めずにはいられなかった。

「…な、んでもない…」

志貴は佳織の背を押して奥へと消えて行った。

そして…えれなもまた眉を顰めて宗治を見つめていた。
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