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ジェミニの檻
第15章 rouge
不思議そうにそれに腰掛ける六花。

「忘れ物って?」

六花が切り出すと、宗治は目を細めた後ゆっくりと口を開いた。

「別れるなら、先延ばしにしない方がいいよ、誰も傷付けない恋愛なんてないんだから」

六花は目を丸くした。

「人の気持ちは変わるんだよ、それが例え双子の兄弟だとしても」

宗治は真剣な眼差しで六花を見つめていた。

カラカラに乾いた喉に言葉が張り付いて…六花は喉を押さえた。

「…な、で…いつから…」

「この前の文化祭、佳織にお願いして、キミの嫉妬を煽れって志貴に助言したのは俺」

「…何でそんな事…」

「自分の気持ちと向き合えないキミを後押ししてあげたんだよ」

宗治の顔がふっと緩む。

「六花ちゃんがエースの事を好きなのはまぁわからなくもない、でもね、本能は抑えない方がいい」

「わ、たしは…」

「ふとした時に浮かぶのは誰?」

宗治は満面の笑みを浮かべて、六花の分かりきった答えを待った。

「志貴、でしょ?志貴だよね、もちろん」

六花は口を両手で塞いでしまい、宗治は代わりに答えてやる。

「で、上手くいった、よね?」

何もかも見透かした宗治に、六花はただ立ち尽くしていた。
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