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ジェミニの檻
第6章 不安材料
「もうカラオケ始まったんで、楽しんで行って下さいね」

六花は曖昧に答える。

「由岐、優しいですよね」

「あ、はい…」

「皆んなに優しいから、学校でもモテるんですよ、次期キャプテンだし、頭もいいし…って知ってますよね」

次期キャプテン…由岐は部活の深い話しはしない。

「由岐の何処が好きなんですか?」

「や、さしいところ、かな」

怪訝な顔を見せたのに六花は気付いてしまう。

「私は由岐の責任感が強いところ、勝負所でしっかり決めてくるメンタルの強さが好きです、ちゃんと由岐のこと見てます?」

当たり障りのない答えをした自分に俯いてしまう。

「私、由岐のこと好きですから、あなたより」

コーラをグラスに注ぐと梢は踵を返した。

「六花?」

席に戻るとカラオケは盛り上がっていた。

何処となく元気のない六花に、由岐は鞄を持つと先に帰ると渉に告げて店を出た。
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