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ジェミニの檻
第1章 ふたつのくちづけ
映画は話題のラブロマンスもので、席も8割方埋まっていた。

映画の後は併設されているショッピングモールをぶらつく。

「もうクリスマスツリー出てる」

まだ11月も半ばだというのに、店先にはクリスマスグッズが所狭しと並んでいた。

「可愛いねー、松永くん家もツリー飾る?」

「うちは両親で海外赴任中で、野郎だけの家にどんな顔して飾るのかって話し」

「そうなんだ、ご飯とか大変だね、お兄さん?弟?」

「弟、洗濯干すのと食事のメニュー考えるのが面倒くさい」

「そうなんだ」

「池内さん、今度作って」

「うん、いいよ」

「やった」

無邪気に笑う由岐を見るとつられるように六花まで笑顔になる。

二人きりの楽しい時間はあっという間に過ぎた。

7時を回って駅へと向かう。

「日曜の夕方なのに結構人いるねー」

駅のホームはそれなりの人でごった返しており、入ってきた電車も混雑していた。

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