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初花
第3章 玻璃
迎えにさしむけた駕籠で
龍は 城内へ来た。


その肌を思い浮かべつつ、
並べられた布から 美しいものを選び
誂えさせ 贈らせた衣裳は
すべて 荷として整然と運ばれ、

見憶えのない布地の
紅い牡丹の打ち掛けを纏い 現れた
うつくしき姿は 季節外れの花のようだった。


「冬を前に 牡丹か。
それもまた、春が近くなるようで よいが。」


「寒牡丹が じきに咲きますから。」


凛とした つよき眼差しが
ほんの一瞬だけこちらに向いて応え、
すぐに俯いた。


まだ莟のままの、美人花 一輪。
私は この手にそれを包んだ。
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