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呪いのしるしを、君の体に。
第8章 8
高槻の愛撫に果てたことりが解放されたのは
身動きが取れずに、意識が飛んでからだった。
朝起きて、寝不足と体のむず痒いほてりに顔を真っ赤にしながら
キッチンで朝食を作った。
『信じられない…まるで…』
自分の体ではないような、ことりのいうことを
全く体が聞いてくれなくなっているような感覚だった。
寝不足もあって目の奥が重い。
軽く朝食を済ませて、家全体の掃除を終えたころに
高槻がコーヒーを飲みに降りてきた。
「おはよう、ことり君」
「…お、はようございます…」
痴態をさらした羞恥心で目が合わせられず
ことりはそっぽを向きつつ、適度に距離を置いて挨拶を済ませた。
そんなことりには構わず、上機嫌の高槻は
いつものようにコーヒーをマグカップに注ぐと
テーブルで今日の新聞を読み始める。
あんまりにも普通だったため、ことりの方の緊張感がほどけた。
思い出すだけで穴の中に入りたい記憶の数々が
ここ1週間だけで増え続けていた。
洗濯をしに脱衣所へ行き、洗濯機を回したところで
後ろに立っていた高槻と目が合った。
「ひっ!」
「なんだい、人を化け物みたいに…」
高槻は苦笑いをする。
そして、手に持った服を、ことりへと差し出す。
とっさに受け取って、そして見覚えのあるその柄にことりは心臓が止まった。
「あ、これも、ことり君のだったよね」
そう言って、ショーツをことりに手渡す。
「昨日、あんなに乱れてびしょびしょだったから
僕が脱がせちゃったんだけど、すっかり返すの忘れてて」
ことりの耳に近い位置で高槻が意地悪につぶやく。
思わずことりの心臓が止まり、顔中に血液が流れ込んできた。
ことりの白い肌は、真っ赤になりやすい。
それを知っているのか、高槻はあえて意地悪につぶやくのだった。