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呪いのしるしを、君の体に。
第9章 9
「さて、ことり君、1時間半の間に
君はどれだけこの小説を読み進めることができたかな?」
瞳に服を着せてスマートに家から帰って行ってもらった後
高槻は階段を上がって書庫に入ってくるなり
ことりを優しく意地悪に見つめた。
もはや心臓が生きた心地のしなかったことりは
気もそぞろに渋々と高槻を見あげる。
「面白かったかな?」
「ええ、まあ…ちょっと難しくって…」
「ふーん」
高槻はことりの手から本を取り上げた。
そして、ページ数を確認する。
「26ページまで読んだんだ?
どんな内容だった?」
「え…と…」
「それにしても、1時間半もあって、26ページしか読めなかったのかな?
君は読書が好きだし、みなみ七瀬の本ももっと早く読んでいた記憶があるんだけど…。
もしかして、読めなかった何かでもあった?
君の気を散らしてしまう何か…」
その意地悪な問いかけに
思わずことりがそっぽを向いて立ち上がる。
「大人しくしてたんですから、ランチご馳走してくださいね!」
「もちろん、それは。
僕は約束を破る様な男じゃないからね」
立ち上がったことりに、高槻が迫った。
その甘い顔立ちに、美しい瞳。
ことりはドキドキしてしまい
思わず顔を背けようとすると
両頬を挟まれて無理やり前を向かされてしまった。
「君が本を読めなかった理由は?」
意地悪で低い声がした。
言わないなら、と近づいてくる唇にことりが慌てて
「言います、言います!」と身をよじる。
「だって、先生、あんな…びっくりしちゃって…」
いきなり現れた美女が
いきなり服を脱いで高槻を襲ったのだ。
驚かない方がない。
「いきなり、襲いかかってくるみたいだったし…」
思い出しても心臓がばくばくしてしまった。
ビデオとは違う、目の前で起きた事実を
ことりはいまだに受け入れられないでいた。