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呪いのしるしを、君の体に。
第9章 9
「だから、ちょっと厄介なお客さんだって言ったでしょ」
「厄介も何も、あんな、いきなり…!」
「いきなり襲いかかってきて、僕に跨って
それを見た君はどう思ったの?」
「…っ!」
ことりは顔を真っ赤にした。
高槻から逃げようと手を振りほどこうとするが
そのまま顔が近づいてきて
キスされるかと思いきや、寸前で止まる。
ぎゅっとつぶった目を開けると
高槻と目があった。
「言いなさい、ことり君」
ぺろり、と唇を舐められる。
今度は親指が唇を割って
唇の内側を高槻の舌が舐めた。
「やっ…言いますから、離して…!」
「早く言わないと、このまま君の唇を襲ってしまうよ?」
「びっくりしたんです、本当に、本当にそれだけで…!」
高槻の舌は有無を言わさずにことりの中に入り込んだ。
ゆっくりと味わう様にことりの舌を絡めとる。
「それで?」
「それでも何も…」
「びっくりして、見入っちゃった?
欲情した?どう思ったの?」
またもや高槻の舌が入ってくる。
上顎を舐められると
背中をぞくりとする快楽が駆け抜けた。
「驚いて…綺麗な人だし体も完璧だし…
ドキドキしました…でも」
「でも?」
「先生があまりにも冷たかったから…」
「怖くなった?」
「はい」
高槻は笑うと、これでもかと言うほど優しいキスをことりにくれた。
身体中の力が抜けるかの様な
深くて優しい口づけだった。
「僕は君には優しい。君は僕のお気に入りだし、大事なハウスキーパーだ。
でも、彼女に優しくする理由がない。
いつも押し入ってきては、無駄に迫ってくる。
断っても断ってもダメでね。仕方ないから相手をしている」
「あの人は先生のことが好きなんじゃないんですか?」
「さあね。僕のお金か地位か名声が目的の1つなのは確かだろうけど」
高槻は何の感情もない目でそう語った。
ことりは、高槻のその表情は嫌いだと思った。
「…先生のその顔は嫌いです。
私の前では、普通の先生でいて下さい。
私は、先生との約束のバイト代だけが目的ですから。
それ以外はないので、安心して下さい」
ことりが至極真っ当な顔でそう言うと
高槻は不意打ちされた様な顔をして
その後にケラケラと笑い始めた。