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第1章 『今川遥(いまがわはるか)』〜都内私立有名女子高１年生〜

私がコーヒーをドリップして、川村先生専用のマグカップに入れて、テーブルまで運ぶと、トレーから静かに置いた。

コーヒーの香ばしい豊かな香がテーブルの上を舞った。

｢いただきます。｣

川村先生が一口コーヒーをすすった。そして熱いまま飲み込んだ。

｢コーヒーを飲む先生の横顔も素敵。まるで、ハブスブルク家の貴族のよう。｣

｢遥さん、忘れちゃったかな？ハブスブルク家は、オーストリアハンガリー帝国とスペイン王朝を支配した、王族ですよ。貴族ではありません。｣

｢先生ごめんなさい、間違ってしまいました。｣

｢ついでだからもう一度、ハブスブルク家の歴史を今日は復習しましょう。こういう時の記憶は必ず長く持ちます。間違えたり、忘れたと思ったら、すぐに用語集で確認するんですよ。できれば電子辞書ではなく、本の方がいい。｣

川村先生は食堂で講義を始めてしまった。