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孤城の中のお姫様
第2章 山川静香(やまかわしずか)〜都内有名私立大文学部4年年〜
私は相沢圭司の腕にすがって、顔を肩に寄せた。

相沢圭司は、私の肩を抱いた。

「静香さん、少しは、受験勉強のストレスをリフレッシュできましたか?」

「なんで?なんで相沢は…わがままな私にそんなに優しくしてくれるの?」

「静香さんがわがまま?私が静香さんのことをそんな風に言いましたか?」

「だって、わがままばかり言って、いつも相沢を困らせて…父にこんなわがまま娘の面倒見させられて、本当はうんざりしてたでしょ?」

「私は静香さんは、素直だと思ってますよっ。ただ…自分のありのままを表現できて、余程の無理難題でなければ、何でも満たすことができる環境にあって、何かを我慢しなければならない、そういう経験ができない静香さんは、可哀相だなって、思ったことはありますよ。僕が静香さんと同じ高校3年の頃は、我慢しなければならないことばかりでした。でも、それが私を強くしてくれましたから…。それに、静香さん、わがままって自分で言うけれど、それは周囲では私だけに取る態度ですよね。静香さんの内面が、態度に表すものと違うのは、これだけ、一緒にいる機会があればわかります。私には…。」

「相沢…ごめんなさい。私…いつも相沢に甘えてた…なんでもしてくれるから…ごめんなさい。」

「静香さん。静香さんは、謝らなくちゃいけないことなんかしていませんよ。」

私は相沢圭司に抱き着いた。相沢圭司は優しく私を受け止めてくれた。

来た時に二組いた、カップルらしい若い男女と家族連れらしい、3人の大人と子供はもう、展望台にはいなかった。
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