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第2章 山川静香(やまかわしずか)〜都内有名私立大文学部４年年〜

私は新聞を読み始めた相沢圭司に話かけた。

｢ねえ相沢、私と一緒にお風呂入らない？ここのお風呂、自動給湯なのは、東京と一緒だけど、広過ぎて、小さな旅館みたいでしょ？だから怖くて…。｣

｢何を言い出すかと思ったら。混浴風呂じゃありませんよ。私は離れのお風呂を使いますから。｣

｢あんな私のマンションのバスルームより狭いお風呂？母屋のに一緒に入ろうよぉ！｣

｢駄目に決まっているでしょう！わからないんですか？親子じゃないんですよっ！｣

｢そんなに強く言うことないじゃない！私、お父様と一緒に入った記憶なんてないわっ！赤ん坊の時、お父様と入浴している写真は見たことあるけど、お友達なんか小学生までお父様と一緒にお風呂に入っていた子がいるけど、お話したり、数を100まで数えたとか楽しそうに話してたわ。私なんか、記憶のある歳には、夜も朝もお父様はいませんでした。いくらお小遣をたくさんもらえたって、子供が親からしかもらえないものを、私はもらっていないのよっ！自分の性格が歪んでいくのだって、自分でもわかるくらいよ！私の家はお母様だって、お父様につきっきりで、私のことなんか放っておいて…家族なんて言えないわよっ！お兄様が山や研究の世界に逃げ出すのも解るわ。｣

私は涙を流し、激しく不満を、相沢圭司にぶつけた。