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第25章 不器用な彼の純心

あたしを強く強く抱きしめる腕。

その腕はやっぱり少し震えていて……


「で、でも…あたしそんなっ」

「俺がお前を求めてるんだ。お前の心も、身体も、他の男に渡したくない。」


そしてあたしの首に顔を埋めて、震える小さな声で言う。



「ずっと、ずっと待ってた。あの頃から。
離れるな。
俺の傍にいろ………莉愛菜。」



どうしてそんなに切ない声であたしの名前を呼ぶの？


その切なさが伝染して、涙が出そうになる。

あの頃からっていつから？

いつから海斗様はあたしをそんな風に思ってくれていたの？


混乱して言葉が出ないあたしに海斗様は顔を上げて困ったように笑った。


「すまない。困らせるつもりはなかったんだが。
やっぱり俺は莉愛菜を前にすると冷静でいられないみたいだ。」