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第55章 後悔

「あの子は、あの子なりにお前の事考えて話さなかったんだよ。」

恭介が諭すように言う。

「お前が最近忙しかったから、自分の話し聞く時間があったらゆっくり寝て欲しいって。」

「そんな事関係無い!!
莉愛菜は俺に話す義務があるっ。」

「違うだろっ？！義務ってなんだよ。
あの子はお前の所有物じゃないんだぞ！」

俺の言葉に、恭介が俺の肩を掴む手の力を強めた。

「あの子は、本当はお前に相談したかったはずだよ。
それでもお前の事を考えてたんだ。
余計な心配掛けたくなかったんだろう。」


―――相談したかったはずだ。


その言葉を聞いて、我に返る。



俺が気付けてやれなかったんだ。

いつもなら莉愛菜の異変にはすぐ気付くのに、今回は俺自身の余裕の無さでまったく気付いてやれなかった。