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莉愛菜と彼の主従関係~専属奴隷契約~
第56章 奪還
「だったら俺のところに来いよ!!
なんでずっと清瀬海斗にくっついてんだよっ!!」
男が叫び出すと莉愛菜の華奢な身体が怯えたように小さく震える。
俺はそっと莉愛菜の背中を摩った。
大丈夫だと伝えるように。
「直哉の事は本当に好きだった…けど……」
そこまで言うと、俺の腕に包まれた莉愛菜が顔を上げ、また今にも泣き出すんじゃないかというほど切ない瞳を向けた。
あぁ、また俺は莉愛菜にこんな顔をさせてるのか。
俺は決して目を背けることなくその瞳を見つめ返した。
「それでも………傍にいたい…離れたくない…好きなの……海斗様を……好きになってたの…」
見つめ合っている瞳から、一粒の涙がこぼれた。
それはさっきまでの恐怖に支配されたものではなく、静かな、寂しさと切なさでできたもののようだった。