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莉愛菜と彼の主従関係~専属奴隷契約~
第64章 パパの想い
「雨……。」
あたしは何も言えない。
パパは何が聞きたいんだろう?
あたしの記憶が曖昧な事はパパももちろん知っている。
あまりにショックな出来事は、心の防衛本能で記憶に蓋をしてしまう事があると、お医者さんが言っていたと聞いた。
「莉愛菜、ママの事は、莉愛菜のせいじゃない。
気に病む必要はないんだ。
莉愛菜がいつまでも自分を責めていたら、ママはきっと悲しむ。」
あたしの頭を撫でながら、優しく語るパパ。
あたしの目からは、気付いたら涙が零れていた。
「でもっ、あたし…」
助けてあげられたかもしれない。
まだ小さかったあたしだけど、何か出来たかもしれない。
ただ泣いてママを呼ぶことしかできなかった自分。
もしあの時、泣いてばかりいないで何か出来ていたら。
何かって何?
分からない。
小さな子供、ましてや5歳だった自分に出来る事なんて無かったかも。
それでも、そう考えずにはいられない。