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莉愛菜と彼の主従関係~専属奴隷契約~
第64章 パパの想い
嗚咽を堪えながら泣くあたしをパパが抱きしめる。
「莉愛菜の気持ちはよくわかっているよ。
でも、これだけは分かって欲しい。
パパも、誰も莉愛菜を責めたりはしていない。
……もちろん、ママだってね。」
あたしより、パパの方がきっと辛くて悲しいはず。
あたしは誰よりも知ってる。
一度だけ、見た事があるから。
ママが死んで少しした頃。
夜、喉が渇いて起きたあたしが部屋を出てリビングに行くと、パパがママの遺影の前に座っていた。
声を掛けようとした時、気付いてしまった。
パパの肩が震えている事。
震えながら何度もママの名前を呼んでいる。
「……桜っ。……桜っ。」
あたしはそのまま部屋に戻り、声を殺して泣いた。
あたしがママを助けてあげられていたら、パパがこんなに寂しい思いをしなくてすんだかも。
泣かないで済んだかもしれないんだ。
”桜”はママの名前。
ママは桜の花が好きだった。