この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
莉愛菜と彼の主従関係~専属奴隷契約~
第74章 ただ君を想う
何度握っても握り返してくれない小さな手を更に握りしめる。
「莉愛菜…」
俺は小さく名前を呼んだ。
愛しいその名前を。
ここで眠っている間、久しぶりに夢を見た。
それは俺たちが始めて出逢った時。
あの時もお前は、こうやって眠っていたな。
懐かしい思い出。
莉愛菜はまだ小さかったから忘れているかもしれないが、俺は鮮明に覚えていた。
昔の事を思い出していると、部屋の扉が小さくノックされ開いた。
そこに立っていたのは本庄さん。
本庄さんは憔悴しきっていた。
そりゃそうだよな。
出張先で娘の事故を聞いて飛んで帰ってきた。
父さんと本庄さんが病院に着いた時にはもう手術は終わっていて、俺は莉愛菜のベッドの横で力なく座り込んでいた。
本庄さんは真っ先に莉愛菜の元へ来て、何度も名前を呼んでいた。
涙を流しながら。
あの、俺と莉愛菜が出逢った日以来の本庄さんの涙。